葬儀は、故人様が信仰していた宗教によって内容が変わります。日本では仏教の教えに基づいた葬儀がほとんどですが、仏教以外にもさまざまな宗旨宗派の葬儀があり、それぞれ儀式や作法に特徴があります。
今回は、天理教の葬儀・家族葬に着目し、お通夜や告別式の流れや作法、参列時のマナーや注意点などを解説します。香典や服装のマナーについてもお伝えしますので、これから天理教の葬儀に参列する方も、ぜひ参考にしてください。
目次
天理教とは
まず最初に、そもそも天理教とはどのような宗教なのかを簡単に解説したいと思います。
天理教は1800年代に日本で生まれた宗教で、現在は世界各国に信者がいます。教祖は中山みき (1798年-1887年) で、本拠地は奈良県天理市にあります。天理教は全人類を兄弟とし、助け合いの心でみんなで仲良く暮らす「陽気ぐらし」を目指しています。
天理教の葬儀の特徴
天理教では「死=出直す」と捉えられているため、葬儀の際にお悔やみの言葉は言いません。また葬儀は、神式に似た形をとっていますが全く同じというわけではありません。
人間の体は神様からの借り物であり、心だけは自身の物であるという「かしもの・かりもの」という思想に基づき、葬儀は「借りていた体を神に返し、新しい体が見つかるまで預かっていていただくための儀式」と捉えられています。
このような教えから、天理教では、亡くなる=出直す、命日=出直し当日などと表現されます。また葬儀はお坊さんではなく、斎主が執り行います。神道と同様に榊を捧げるのも天理教の葬儀の特徴です。
天理教の葬儀の流れ
天理教の特徴をご理解いただいたところで、次は葬儀の流れについて解説していきます。
お通夜(=遷霊祭(せんれいさい))の流れ
①入場
斎主・斎員が入場し、着席します。
②祓詞(はらえことば)奏上
祓詞を奏上します。
③うつしの詞奏上・「みたまうつし」の儀
「うつしの詞」を奏上し、故人様の体から魂をうつす=みたまうつしの儀式を執り行います。
④献饌(けんせん)
神様に米や塩などのお供物を献上する儀式です。
⑤斎主 玉串奉献(たまぐしほうてん)
玉串奉献は仏式の焼香にあたる儀式です。ここでは斎主が玉串奉献を行います。
⑥しずめの詞奏上
しずめの詞が唱えられます。
⑦斎主・斎員列拝
斎主や助手として働く人々が列拝をします。
⑧参列者 玉串奉献及び列拝
喪主・遺族・一般参列者の順に玉串奉献及び列拝を行います。
⑨撤饌(てっせん)
お供物をさげます。
⑩退場
斎主・斎員が退場します。
葬儀・告別式(発葬祭)の流れ
①入場
斎主・斎員が入場し、着席します。
②献饌(けんせん)
神様に米や塩などのお供物を献上する儀式です。
③しのびの詞奏上
しのびの詞を奏上します。
④ 斎主玉串奉献・告別詞奏上
斎主が玉串奉献を行い、告別詞を奏上します。
⑤斎員列拝
斎員(斎主や助手として働く人々)が列拝をします。
ーこのタイミングで、弔辞・弔電が披露される場合がありますー
⑦参列者 玉串奉献及び列拝
喪主・遺族・一般参列者の順に玉串奉献及び列拝を行います。
⑧撤饌(てっせん)
お供物をさげます。
⑨斎主及び斎員退場
斎主・斎員が退場します。
※献饌(けんせん)と撤饌(てっせん)は省略されることもあります。
天理教の葬儀の作法(玉串奉献と列拝)
お通夜や葬儀で行う玉串奉献(たまぐしほうてん)と烈拝(れっぱい)のやり方を解説します。
玉串奉献・列拝のやり方
玉串とは榊のことで、祭壇に榊を献上することを玉串奉献と言います。献上したのちに「2礼4拍手1礼4拍手1礼を」することを列拝と言います。玉串奉献は神道でも行われますが、天理教では列拝の作法が神道の「2礼2拍手1礼」とは異なるため注意しましょう。また拍手の大きさにも特徴があります。
①玉串を斎員から受け取る(右手で茎の部分を持ち、左手を葉の部分に添えて持つ)
②祭壇前で軽く一礼し、玉串を4分の3(270度)回転させて茎が祭壇側に向くように置く
③2礼4拍手1礼4拍手1礼をする
この時の拍手は、お通夜では「小さな音」で、告別式では「普通に音を立てて」拍手します。
上述の通り神道と天理教では拍手の数が異なります。また神道の葬儀では音を鳴らさないしのび手なのに対し、天理教では音を鳴らすという違いがあるので注意しましょう。
天理教の葬儀で、ご家族様が抑えておきたいこと
早い段階で葬儀社に天理教信者であることを伝える
天理教の葬儀はお坊さんは呼びません。葬儀を執り行う斎主と斎主のアシスタント兼和楽器演奏者である斎員がいます。一般的な仏式の葬儀とは準備が異なるため、故人様が天理教信者である場合は、そのことを早めに葬儀社のスタッフに伝えておくとスムーズです。
天理教のお布施はどうする?
天理教のお布施の表書きは 「御礼」や「御祭祀料」「寸志」「志」などを用います。仏教ではないので「御仏前」「お布施」「御香典」は用いないようにしましょう。またのし袋はハスの花が描かれたものは避けるのがマナーです。ハスはお釈迦さまの象徴とも言われ、仏教で用いられるモチーフのためです。水引は「双白」または「白黒」、金額が高い場合は「双銀」を用います。水引の形は結び切りです。
また地域や教会によっても変わりますが、参考となるお布施の金額相場は以下のとおりです。あくまで参考程度にご確認ください。ちなみにお布施は、葬儀後に直接相手に手渡ししましょう。
斎主:5万〜10万
副斎主:3万〜8万
伶人:1万〜5万
楽人:1万〜5万
諡(戒名)に対するお布施は不要
仏教でいうところの「戒名」にあたる死後の名前のことは、天理教では諡(おくりな)と言います。仏式の葬儀では、僧侶に読経していただいたお礼のほかに、戒名授与のお礼としてお布施をお渡ししますが、天理教ではその必要はありません。
天理教の葬儀で参列者が抑えておきたいこと・マナー
天理教の香典金額は?表書きや香典袋はどうする?
香典にお包みする金額の相場も、通常の葬儀と同じで問題ありません。知人の場合は3千円から5万円の間、親族の場合は3万円から10万円程の間で年齢や関係性に応じた金額をお包みします。
また香典袋の表書きは、「玉串料」「御榊料」「御霊前」のいずれかを用います。仏教で用いられる「御仏前」は、天理教ではマナー違反になります。
「ご愁傷様です」は言わない。挨拶はどうする?
前述したとおり、天理教では死は出直すことを意味するため、葬儀でよく耳にする「この度はご愁傷様です」のような挨拶は、かえってマナー違反になってしまいます。また仏教用語である「成仏」「冥福をお祈りします」という言葉も不適切です。
「哀悼の意を表します」
「安らかなお眠りをお祈り申しあげます」
お供物に適したものは?
線香・抹香・ろうそくなどは仏教の教えに基づいたものなので天理教では用いません。お供物としてそれらを持参することはマナー違反になるので注意しましょう。天理教でのお供物は、一般的に消え物と言われる飲食物(焼き菓子など)や日用品(洗剤や石鹸など)、もしくは故人様が好物だったものなどでもかまいません。
お供物の表書きは、「御供」「奉献」のいずれかを用いるのがマナーです。
葬儀に参列する際の服装はどうする?
天理教の葬儀に参列する際の服装は通常の葬儀と同じで問題ありません。男性はブラックスーツ、女性はブラックスーツかワンピース、アンサンブルを着用します。ただし数珠は仏教に基づくものなので持参しません。
天理教の葬儀、マナーや流れを知って失礼のないご葬儀を
ここまで、天理教の葬儀の特徴や、流れ、香典・服装などのマナーをお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか。普段私たちが慣れ親しんでいる葬儀とは異なる作法があるため、初めての方は戸惑ってしまうかもしれませんが、事前に教義の内容や、マナーを知っておくことで、ご家族様も、参列者様も、お互いに気持ちの良い葬儀にすることができるのではないでしょうか。
天理教の葬儀は、葬儀社にも経験が求められます。必ず全宗派に対応した葬儀社を選ぶようにしましょう。
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