親や家族が亡くなったら……? いずれ必ず訪れるその時を、誰しも考えることさえ先延ばしにしたくなることと思います。ですが、葬儀にまつわる手続きはもちろん、役場への書類提出や遺産相続に関する手続きなど、やるべきことはたくさんあり、また加えてそれらの中には期限が決められているものも多いです。
そこで、精神的につらい中にあっても、悔いなく故人様を送り出し、また手続きを漏らさずに行っていただけるよう、ご家族様が亡くなった後、「何を」「いつまでに」「どうすればいいか」をわかりやすく解説していきます。
目次
親や家族が亡くなったらすぐにする手続き
1 死亡診断書の受け取り
まずは死亡診断書(死体検案書)を発行してもらう必要があります。
病院で亡くなった場合には、その病院の医師や主治医から発行してもらいます。
一方、自宅で亡くなった場合には、以下①②の方法があります。
かかりつけ医に来てもらい死亡診断書を発行してもらう。
②患っていた病気以外の原因で自宅で亡くなった場合
ご遺体や部屋のものに手を触れず、すぐに警察に連絡をします。この場合、死亡診断書ではなく「死体検案書」が発行されます。
死亡診断書は、死亡届の提出や死亡保険金の請求時に提出する必要があるので、必ずコピーを複数枚用意しておきましょう。
2 葬儀の手配
続いて、葬儀の手配を行います。
病院で亡くなられた場合には、ご遺体を搬送する手続きも必要となります。
葬儀の手配は基本的に葬儀社に依頼します。担当者の対応や、費用を細かく提示し、詳細も含めた見積りを出して丁寧に説明をしてくれるかどうかなど、信頼の置ける葬儀社かどうかを見極めて選ぶようにしましょう。
もし、エンディングノートなどを故人様が残していた場合には、記載されている内容を尊重し、希望の葬儀社へ連絡します。
3 死亡届の提出・火葬許可証の受け取り
死亡診断書(死体検案書)の左側が「死亡届」になっているので、必要事項を記入し、死亡が分かった日から7日以内に市町村役場に提出します。
死亡届は、死亡診断書同様にその後の手続きに必要になることもあるので、コピーを用意しておいてください。
また、死亡届の提出と同時に火葬許可証の申請も行い、受け取ったら火葬場へ提出します。
4 お通夜〜初七日法要
【お通夜】
ご逝去の翌日の夜に早ければお通夜を執り行います。
【葬儀・告別式・火葬・初七日法要】
お通夜の翌日には葬儀・告別式が行われ、火葬場にて火葬をします。
ご逝去から七日後に行われる初七日法要も、最近では葬儀当日に行われることが多いです。
【火葬許可証の取得】
火葬が終わると「火葬許可証」に印が押されて戻ってきます。この押印済の火葬許可証は、お墓への納骨の際に必要になるため、大切に保管しておきましょう。
【葬儀代金の支払い・領収書の受領保管】
葬儀から1週間ほどで葬儀社から請求書が送られてきたら、代金を支払います。領収書や明細書は、葬祭費補助金を取得する際や相続の手続きでも必要になることがあるため、必ず受領し大切に保管しておきましょう。
公的機関への手続き
葬儀がひと段落したら四十九日法要・納骨の準備に入りますが、並行して期限のある各種手続きも進めていきましょう。
1 年金受給の停止手続き(10日または14日以内)
停止手続きのタイミングを逃し年金をもらい過ぎてしまった場合には、返還を求められることがあるので下記期限に注意し必ず手続きを行いましょう。
厚生年金を受給していた場合:10日以内
国民年金を受給していた場合:14日以内
亡くなった人と生計を一にしていたご遺族は、未支給分の年金をもらうことができるので、年金事務所に相談してみましょう。
▼必要書類
年金受給権者死亡届(報告書)
故人様の年金証書
死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、住民票除票、死亡診断書のコピーなど)
▼提出先
年金事務所、または年金相談センター
2 健康保険資格の喪失手続き(14日以内)
健康保険証を返却し、健康保険(国民健康保険や後期高齢者医療制度)資格の喪失手続きを行います。手続きの具体的な内容については、各自治体ごとに異なりますので窓口で確認してみてください。
もし、故人様が生前会社に勤めていていて、勤務先の被用者保険に加入していた場合には、5日以内に勤務先の会社へ死亡を届け出て資格喪失の手続きをしてください。
▼必要書類
資格喪失届
保険証
死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、住民票除票、死亡診断書のコピーなど)
マイナンバーカードなど
届出人の本人確認書類
▼提出先
故人様の住所地の市区町村役場
ただし、被用者保険に加入している場合は勤務先や健保組合
3 介護保険資格の喪失手続き(14日以内)
資格喪失届の提出とともに、介護保険被保険者証を返却します。故人様が要介護認定や要支援認定の申請中であった場合は、申請の取り下げをおこなう必要が出てくるかもしれませんので市区町村の窓口で確認しておきましょう。
▼必要書類
資格喪失届
介護保険被保険者証など
▼提出先
故人様の住所地の市区町村役場
4 世帯主変更の手続き(14日以内)
故人様が世帯主だった場合、14日以内に新しい世帯主が居住している市区町村役場に届け出する必要があります。
ただし、世帯員が一人になる場合や、世帯員がもう片方の親と15歳未満の子どもだけになった場合など、誰が世帯主になるかが明らかな場合には、届出は不要です。
▼必要書類
世帯主変更届
申請する人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
国民健康保険の保険証(加入している場合)
代理人が申請する場合は委任状(代理人が申請する場合、本人確認書類は代理人のもの)
▼届出先
居住地の市区町村役場
5 死亡一時金の請求(2年以内)
故人様が国民年金の第1号被保険者(日本国内に住んでいる、20歳以上60歳未満の自営業者や農業者、無職の方など)の場合、ご遺族が死亡一時金を受け取れます。
ただし、故人様の配偶者に子がいる場合やご遺族が子だけの場合には遺族基礎年金を受給できるので、死亡一時金を受け取ることはできません。(後ほど説明しますが、死亡一時金と寡婦年金の両方を受け取れる場合は、どちらか一方を選ばなくてはなりません。)
▼必要書類
死亡一時金請求書
故人様の年金手帳
戸籍謄本(全部事項証明書)など
請求者の世帯全員の住民票の写し
故人様の住民票除票
受取先金融機関の通帳またはキャッシュカード(写し可)
▼請求先
故人様の住所地がある市区町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターなど
6 葬祭費・埋葬費の請求(2年以内)
国民健康保険や後期高齢者医療制度、被用者保険に加入していた場合、葬儀にかかった葬儀費用や埋葬のための費用などが給付されます。
必要書類など詳しくは、各自治体や故人様の勤務先または健保組合などに確認しましょう。
7 高額医療費還付請求(2年以内)
故人様の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、高額療養費制度を利用することで自己負担額超過分が払い戻されます。亡くなった後からでも申請ができ、請求期限は診療月の翌月から2年以内と規定されています。医療費の自己負担限度額は年齢や収入、受診状況によって変わってくるので、詳細は厚生労働省のホームページを確認しましょう。
▼必要書類
高額療養費支給申請書
医療費の領収書
故人様との続柄がわかる書類(戸籍謄本など)
▼提出先
故人様が国民健康保険、後期高齢者医療制度に加入していた場合:住所地の市区町村役場
被用者保険の場合:協会けんぽ、健保組合
8 遺族年金の請求(5年以内)
故人様が生計を維持していた場合、ご遺族は遺族年金を受け取ることができます。
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の二種類があり、故人様の年金の加入状況によっていずれか、または両方の受け取りが可能です。
【遺族基礎年金】
亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。「子」とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方をさします。
【遺族厚生年金】
亡くなった方によって生計を維持されていたご遺族が受け取ることができます。遺族基礎年金と違い、子どものいない配偶者や故人様の父母にも支給されます。
必要書類は多岐に渡るため詳しくは、下記役場や年金窓口に確認してください。
▼請求先
遺族基礎年金のみの場合:故人様の住所地の市区町村役場
遺族厚生年金がある場合:年金事務所や年金相談センター
9 寡婦年金の請求(5年以内)
先述の通り、死亡一時金を受給した場合には受け取ることができません。
寡婦年金は、第1号被保険者であった夫が亡くなり、妻が遺族基礎年金を受給できない場合に、その妻が60歳から65歳まで受け取ることができる年金です。
受け取れる額は、亡くなった夫がもらえるはずであった老齢基礎年金の4分の3の金額になります。寡婦年金請求書や年金手帳、戸籍謄本など詳しい必要書類は、市区町村役場や年金窓口に確認してください。
10 未支給年金の請求(5年以内)
公的年金は、過去2ヶ月分がまとめて支給されます。そのため、亡くなった直後にはまだ支給されていない年金、未支給年金があります。
また、故人様が年金をもらえるにもかかわらず、もらっていなかったような場合、本来ならばもらえるはずの年金が未支給年金となってしまいます。故人様と生計を一にしていたご遺族は、これらの未支給年金について、請求手続きをおこなうことで故人様の未支給年金を受け取ることができます。
未支給年金・未支払給付金請求書及び受給権者死亡届(報告書)など詳しい必要書類は、年金事務所または年金相談センターに確認してください。
その他の手続き
1 公共料金の名義変更/解約
電気やガス、水道などのライフラインについては、引き続き利用する場合は名義変更を、これ以上利用しないのであれば各事業者へ連絡して解約の手続きを行いましょう。
2 各種利用サービスの解約
下記サービス等の解約手続きもすみやかに行い、余計な支出を防ぎましょう。
✓ 携帯電話・固定電話
✓ インターネット回線
✓ サブスクリプション(動画・音楽配信サービス等)
✓ 定期購入・購読
✓ NHK
3 クレジットカードの解約
クレジットカードは盗まれた場合に不正利用される可能性がありますし、年会費がかかることもあるため、カード裏面に記載のある電話番号に連絡し手続きを行いましょう。
なお、未払いの代金があった場合は、指定期日に支払う必要があるのでご留意ください。
4 運転免許証の返納(特に期限なし)
ご遺族に返納していただく義務はありませんが、運転免許証の有効期限が満了していない場合、運転免許証更新連絡書等の通知が届くことになります。通知の停止を希望される場合には、警察署などでの手続きをしてください。
死亡保険金の請求(3年以内)
故人様が死亡保険に加入していた場合、保険金受取人に指定されている方に死亡保険金が支払われます。
死亡保険金は、保険金受取人の固有の財産となり、相続財産には含まれないため遺産相続や遺留分の対象になりません。
請求手続きに関しても相続財産に含まれませんので、そのほかの相続人の同意は不要です。保険会社所定の書類(死亡保険金請求書など)や保険証券など必要書類は生命保険会社に確認しておきましょう。
遺産相続に関する手続き
身内間のトラブルを防ぐためにも、相続に関する知識を理解しておきましょう。
1 相続人や相続財産に関する調査
相続人の確定作業や遺産相続の手続きを進めるにあたって、以下の戸籍謄本が必要となります。
✓ 故人様の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍謄本)
✓ 相続人全員の戸籍謄本(現在のもの)
戸籍謄本がすべて揃ったら、相続人を確定する作業と同時に相続財産の調査を行います。
2 遺言書の検認手続き
自宅で保管されていた遺言書を発見した場合には、家庭裁判所で検認の手続きをおこなう必要があります。検認が行われていない遺言書は、相続手続きに使用できません。また、勝手に開封してしまうと5万円以下の過料が科されてしまいますので注意しましょう。
▼必要書類
発見された遺言書
遺言書の検認の申立書
故人様の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本など
3 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成
故人様が遺言書を残していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議をおこなうことになります。遺産分割協議が相続人の間で同意を得られたら、遺産分割協議書を作成し相続人全員の実印を押印する必要があります。
4 相続放棄の手続き(3ヶ月以内)
故人様が負債などを抱えていた場合、負債も遺産相続の対象になります。経済的な負担が大き過ぎる負債を相続したくない場合は、相続放棄の制度が用意されています。
相続放棄は、相続財産を一切受け取らない代わりに、負債も返済する必要がなくなる制度です。
相続があったことを知った日(故人様の死亡日)から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申し立てを行わなくてはいけません。
相続放棄の申述書など必要書類を用意して、家庭裁判所に申し立てを行い、受理されれば相続放棄が認められます。
5 相続登記(3年以内)
相続によって受け継ぐ不動産の名義変更(所有権移転)を行う手続きを相続登記といいます。相続した不動産は、相続登記を行わない限り故人様名義のままとなり、処分(売却など)ができなくなるので注意してください。
※ 2024年(令和6年)4月1日からの相続登記の義務化により、相続により取得した不動産は3年以内に登記を行うことが必要となり、正当な理由なくこれを怠ると10万円以下の過料が課せられることになります。
相続登記申請書や戸籍謄本など必要な書類や申請先については、不動産の所在地を管轄する法務局にお問い合わせください。
6 預貯金などの払い戻しや名義変更
銀行は預金口座の名義人が亡くなった事実が確認されると凍結されてしまい、入出金ができなくなってしまうので注意が必要です。
預金口座の相続には、口座を解約して払い戻しを受ける方法と、故人様が使用していた口座を名義変更して引き継ぐ方法の二つがあります。
銀行によっては、解約の方法しか認められていない場合があるので、確認しておくようにしましょう。
7 相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
最後に相続税の申告と納付を行って遺産相続の手続きは終了です。
相続税の申告と納付には期限が決まっているので注意が必要です。相続税の申告は、相続の開始を知った日(死亡日)の翌日から10ヶ月以内となっており、相続税の納付期限は申告期限と同日となっています。
相続税の確定申告書や戸籍謄本など必要書類の正確な詳細は、国税庁のホームページで確認できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。親や家族が亡くなった際には精神的なショックを抱えながらもやるべきことがたくさんあります。そのうえ期限が早いものは見落とさないように注意を払う必要もあります。
そのような中でもこなさなくてはならない手続きの負担を少しでも和らげるために、まだご家族様が元気なうちから葬儀社を交えて相談をしておくのもよいでしょう。
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