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2024.07.30

相続登記とは?手続き方法をわかりやすく解説します

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不動産の名義人が亡くなった場合に、別の人に名義変更する手続きのことを相続登記(そうぞくとうき)といいます。普段はあまり気にしたことがないと思いますが、住んでいる家や働いているオフィスなどには、それぞれ不動産ごとに所有者の名義人が登録されています。

不動産の所有者などに関する情報が記された公の帳簿を登記簿といいますが、特定の不動産の名義人であることを第三者に証明するためには登記を行う必要があります。

今回は、不動産名義人となっていたご家族様がお亡くなりになられた際に行う相続登記について詳しく解説します。どのような手続きを行えばよいか提出する書類は何かなどに加え相続登記にかかる費用についてもお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

相続登記とは?

ご家族様やご親族様がお亡くなりになり、その方から土地や家屋などの不動産を引き継いだ場合、法務局で不動産の名義変更をする必要があります。その名義変更手続きのことを相続登記(そうぞくとうき)といいます

令和6年4月1日から相続登記は義務化され、3年以内に相続登記を行わなかった場合は、10万円以下の罰金が課せられることが法律で定められています。

また、たとえば相続後に不動産を売却したり賃貸に出したりする際にも相続登記を済ませておく必要があるため、所有する不動産を活用したいと思った時にスムーズにことを進められるようにするためにも、相続したタイミングできちんと名義変更をしておくことが大切です。

不動産を相続された場合は、早めに相続登記の手続きをしておきましょう。

相続登記手続きの流れ

相続登記の手続きは以下の流れで進めます。

Step1 物件の調査
Step2 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得
Step3 相続人の調査
Step4 必要書類の収集と作成
Step5 法務局へ提出

さっそく、それぞれのStepについて、具体的にみていきましょう。

Step1 物件の調査

【名義人の確認】
まず、対象となる不動産の所有者が故人様の名義であるかどうかを調査する必要があります。これまで相続登記は義務ではなかったため、前の代できちんと名義変更がされていない可能性もあるためです。
お父様の名義になっていると思っていたものが、実はおじい様名義だったというようなことも起こり得るため、まず最初に名義人の確認をしましょう。

【地番の確認】
地番とは、登記簿上で扱われる数字のことで、法務局によってその土地一筆ごとに与えられた番号のことです。もちろん、住所や番地とは異なります。

【家屋番号の確認】
家屋番号も土地や建物を特定するために、法務局が付与した不動産登記上の番号のことです。

|地番・家屋番号の調べ方|
地番と家屋番号の調べ方はいくつかありますが、法務局に電話で問い合わせるのが最も手軽な方法かもしれません。法務局に電話し、担当者に「地番と家屋番号の照会をお願いします。」と尋ねると教えてくれます。

手元に建物の権利証・登記識別情報通知・固定資産税の納税証明証などがある場合は、そちらにも地番と家屋番号が記載されていますので確認してみてください。

|名義人の調べ方|
地番と家屋番号が分かればインターネットの「登記情報提供サービス」「所有者事項の情報」(有料・¥142/件)から名義人を調べることができます。また手元に建物の権利証・登記識別情報通知・固定資産納税通知書などがある場合は、そちらに記載されていますので確認してみてください。

Step2 登記事項証明書(登記簿謄本)の取得

続いて登記事項証明書または登記簿謄本を取得する必要があります。いずれも法務局で発行してもらうことができる書類で、内容は同じものになります。なぜ名称が異なるのかというと、書類の保存方法と発行方法が違うためです。

登記事項証明書=コンピューターで処理したデータを専用用紙に印刷して発行するもの
登記簿謄本=直接登記用紙に記載してあるものをコピーして発行するもの

このように名称は違いますが内容は同じであるため、同じものと思っていただいて問題ありません。

登記事項証明書(登記簿謄本)には、全部事項証明書、現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書、登記事項要約書といった5つの種類がありますが、相続登記の場合は「全部事項証明書」を取得します。

申請方法は窓口と郵送が選べ、窓口で申請する場合の手数料は¥600となります。(オンライン請求の場合、証明書を郵送で受け取る手数料は¥500、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る手数料は¥480)

【申請に必要なもの】
●対象となる不動産の地番・家屋番号がわかる書類(メモでも可)
●費用=1件あたりの費用 × 対象となる不動産の数
※対象となる不動産が会社・法人の場合は商号(法人名)が必要になります。

もし手元に登記事項証明書(登記簿謄本)があったとしても、古くなっている可能性もあるため、相続登記の際には改めて取得するようにしましょう

Step3 相続人の調査

続いては、相続人が誰かを調べる作業にうつります。もし故人様(お亡くなりになった不動産所有者)が、法的効力のある遺言書を残していなかった場合は、法定相続人全員が相続登記に関わることになります。また法定相続人を調べるには、故人様の出生から死亡までのすべての戸籍を遡る必要があります

|法定相続人の調べ方|
●故人様の戸籍謄本を取得する
取得場所:最寄りの市区町村役場
担当者に「出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が欲しい」旨を伝える

2024年3月1日より「戸籍証明書等の広域交付制度」が始まり、今までは故人様の本籍地の市区町村役場でしか取得できなかった戸籍謄本が、最寄りの市区町村役場で取得できるようになりました

ただしこの制度では、

✔︎ 兄弟や叔父、叔母(傍系血族)の戸籍謄本は取得できない
✔︎ 郵送や代理人による利用は不可
✔︎ 古い戸籍謄本は取得できない可能性もある

といった注意点もあります。

また、基本的には即日発行が可能となっていますが、戸籍のデータベースの状況や窓口の混雑具合によっては、すべての戸籍謄本を即日発行できないこともあるようなので、そのことは念頭においておきましょう。

【申請に必要なもの】
●戸籍謄本発行手数料(¥450/1通)
●申請者の顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
●戸籍証明等請求書(窓口にて取得し記載、またはホームページから事前ダウンロード)
●印鑑
●委任状(必要に応じて)
●返信用封筒(必要に応じて)

Step4 必要書類の収集と作成

続いては必要書類を集める作業に入ります。相続登記に必要な書類は、遺言書の有無や相続人の決まり方によっても変わってきます。下記3つのケースからご自身の状況に当てはまるものを見つけて、必要書類を確認してください。

※以下の法的効力のある遺言書とは、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のいずれかのことをいいます。

ケース1 法的効力のある遺言書がなく、遺産分割協議の結果に則して法定相続人が相続する場合

【必要な書類】

対象者(誰の) 必要な書類 備考
故人様(被相続人) ●戸籍謄本(戸籍事項証明書)
●除籍謄本
●改製原戸籍
出生から死亡まで、故人様が在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要になります。
●登記簿上の住所及び本籍地の記載のある住民票の除票 または戸籍の附票 故人様の登記上の住所が戸籍謄本等に記載された本籍と異なる場合に必要となります。
法定相続人 ●戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)
●毎年4月に市区町村から送付される固定資産課税明細書
●遺産分割協議書に押印された印鑑に関する印鑑証明書
※戸籍謄本(抄本)は故人様の死亡日以降に発行されたものが必要になります。

※固定資産課税明細書は登記申請をする日の属する年度のものが必要になります。

法定相続人のうち
新しく所有者になる方
●住民票

【作成する書類】

作成する方 作成する書類 備考
新しく所有者になる方(相続人) ●登記申請書 申請書の書式やひな形のようなものがないため、法務局の「相続登記申請書のフォーマット」を参考に用紙の用意からすべてを自分たちで作成します。
法定相続人 ●遺産分割協議書
新しく所有者になる方または代理人 ●相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要です。

※代理人による申請の場合は別途「委任状」が必要になります。(新しい所有者が申請する場合は不要です。)

 

ケース2 法的効力のある遺言書がなく、民法の定める遺産相続割合に従って相続する場合

【必要な書類】

対象者(誰の) 必要な書類 備考
故人様(被相続人) ●戸籍謄本(戸籍事項証明書)
●除籍謄本
●改製原戸籍
出生から死亡まで、故人様が在籍していた全ての戸籍・除籍謄本が必要になります。
●登記簿上の住所及び本籍地の記載のある住民票の除票 または戸籍の附票 故人様の登記上の住所が戸籍謄本等に記載された本籍と異なる場合に必要となります。
法定相続人 ●戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)
●毎年4月に市区町村から送付される固定資産課税明細書
●住民票
戸籍謄本(抄本)は故人様の死亡日以降に発行されたものが必要になります。

【作成する書類】

作成する方 作成する書類 備考
新しく所有者になる方(相続人) ●登記申請書 相続人が複数いる場合、法定相続分に従って登記をするのであれば、相続人全員で申請するほか、相続人のうち1名が相続人全員分を申請することができます

申請書の書式やひな形のようなものがないため、法務局の「相続登記申請書のフォーマット」を参考に用紙の用意からすべてを自分たちで作成します。

新しく所有者になる方または代理人 ●相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要です。

※代理人による申請の場合は別途「委任状」が必要になります。(新しい所有者が申請する場合は不要です。)

 

ケース3 法的効力のある遺言書があり、それに則して法定相続人が相続する場合

【必要な書類】

対象者(誰の) 必要な書類 備考
故人様(被相続人) ●遺言書
●戸籍謄本(戸籍事項証明書)
●除籍謄本
●改製原戸籍
遺言書は「自筆証書遺言書」の場合は以下2点に注意しましょう。

① 法務局に保管されている場合は、「遺言書情報証明書」が必要です。
② ①以外の場合は、家庭裁判所での検認が必要です。

 

戸籍・除籍謄本は、出生から死亡まで、故人様が在籍していた全ての謄本が必要になります。

●登記簿上の住所及び本籍地の記載のある住民票の除票 または戸籍の附票 故人様の登記上の住所が戸籍謄本等に記載された本籍と異なる場合に必要となります。
新しく所有者になる方 ●戸籍謄本(抄本)(戸籍事項証明書)
●毎年4月に市区町村から送付される固定資産課税明細書
●住民票
戸籍謄本(抄本)は故人様の死亡日以降に発行されたものが必要になります。

【作成するもの】

作成する方 作成する書類 備考
新しく所有者になる方(相続人) ●登記申請書 相続人が複数いる場合、法定相続分に従って登記をするのであれば、相続人全員で申請するほか、相続人のうち1名が相続人全員分を申請することができます。

申請書の書式やひな形のようなものがないため、法務局の「相続登記申請書のフォーマット」を参考に用紙を用意からすべてを自分たちで作成します。

新しく所有者になる方または代理人 ●相続関係説明図 戸籍・除籍謄本(抄本)の原本の還付を希望しない場合は不要です。

※代理人による申請の場合は別途「委任状」が必要になります。(新しい所有者が申請する場合は不要です。)

 

【登記申請書の書き方】
上記の一覧表の【作成する書類】にある「登記申請書」は、法務局で書式が用意されていて必要事項を記入するだけというようなものではありません。用紙の準備からすべて自分たちで行う必要がある書類となります。

まずはA4サイズの用紙を用意します。記入する文字はパソコンで入力したものでも問題ありません。もし手書きで記入する場合は、鉛筆ではなくボールペンで書きましょう。また摩擦で文字が擦れたり滲んだりしないよう、はっきりと見えるように書くことがポイントです。

作成にあたっては、法務局の「相続登記申請書のフォーマット」を参考にするとスムーズです。

【原本還付の希望について】
相続登記申請書に添付した資料は、登記完了後にすべて返却してもらうことが可能です。このことを原本還付といいます。もし還付を希望する場合は、相続登記申請書に「原本還付希望」と記載し、返送先を申請人の住所宛とします。還付された資料は、ほかの相続手続きで必要になった際に流用することができます。

●原本のコピーで還付が受けられる書類
・遺産分割協議書
・遺言書
・印鑑証明書
・不動産を相続する人の住民票または戸籍の附票
・不動産の固定資産評価額証明書、固定資産納税通知書

●相続関係説明図の提出で原本還付が受けられる書類
・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までをさかのぼれる連続した戸籍謄本一式
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本

【課税価格と登録免許税】
相続登記申請書には、不動産の課税価格と納付する登録免許税を記載する必要があります。登録免許税は、不動産価格を元に課税標準額を算出し、これに税金をかけた金額になります。登録免許税額を算出したら、その額に相当する印紙を購入し印紙台に貼り付け、申請書と合わせて提出します。

Step5 法務局へ提出

必要書類がすべて整ったら、最後は法務局へ提出して完了です。申請先は対象となる不動産を管轄している法務局になります。複数の不動産の相続登記をする場合は、不動産ごとに管轄する法務局が異なる場合もあるため注意しましょう。

相続登記にかかる費用

相続登記をご自身で行うのであれば、費用は基本的には各書類の申請料金や登録免許税になります。
もし司法書士に依頼する場合は、それらに加えて司法書士への報酬が必要になります。報酬は依頼先によってもさまざまなので一概にはいえませんが、目安となる金額としては、6万円〜8万円程度といわれています。
ただし固定資産評価額が高ければ目安となる報酬額も高くなりますので、あくまでも参考程度と考え、正確な金額を事前に把握しておきたい場合は、必要経費込みでいくらかかるかを直接確認しておきましょう

【各書類の申請費用一覧】

必要書類等 費用
登記事項証明書(登記簿謄本) ¥600/1通
※オンライン申請の場合は¥500
※オンライン申請、窓口交付の場合は¥480
戸籍謄本 ¥450/1通
除籍謄本・改製原戸籍 ¥750/1通
遺言書の検認に必要な費用 遺言書1通につき¥800
検認済み証明書 遺言書1通につき¥150
住民票・住民票除票 ¥300/1通
印鑑登録証明書 ¥250/1通
固定資産評価額証明書 土地一筆もしくは固定資産課税台帳1枚につき¥300
登録免許税 固定資産評価額の0.4%

まとめ

ここまで相続登記の流れや必要な書類、かかる費用について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。個人で行う方法もありますが、専門的な要素も多いので司法書士に任せるのも手段の一つです。

相続登記だけでなく、相続に関わる手続きは多岐にわたるため、頼れるところは専門家の力も借りながら、上手に進めていけるといいですね。

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