毎年夏に訪れる「お盆」は、先祖の霊を迎え入れ、供養する行事です。 お盆には、お坊さんを招いて法要を営むというご家庭も多いでしょう。 葬儀も法要も、同じようにお坊さんの読経供養があり、参列者が焼香をするなどして故人を偲ぶ儀式ですが、この2つはそもそも何が違うのでしょうか。 今回は、「葬儀」と「法要」の違いについてわかりやすく解説します。 この2つの違いを知っておくことは、それぞれのシーンでふさわしいマナーを知ることにもつながります。いざというときのためにも、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
葬儀と法要の意味の違い
法要と法事の使い分け
それぞれのマナーの違い
お盆と法要の関係
葬儀とは
葬儀は、亡くなった直後に行う、故人を送り出すための儀式です。通常は、「お通夜、葬儀・告別式、火葬」の流れで行われ、基本的に1回きりしか行われません。 葬儀には、読経や戒名授与などを行って故人を弔う宗教的な意味合いのほかに、友人知人らが集まり、別れを惜しむ社会的なお別れの場としての役割もあります。 また、残された人が大切な人の死を受け入れ、悲しみと向き合いながら前を向いていくための、いわゆるグリーフケアとしての側面も持っています。
法要とは|法事との違いも解説
一方、法要は、葬儀後に節目ごとに行われる儀式のことで、故人の冥福を祈る追善供養という意味合いがあります。 法要には、「忌日法要」と「年忌法要」があります。 忌日法要は、葬儀後、四十九日までの間に迎える節目ごとに行われる法要を指し、年忌法要は、それ以降の1年〜数年ごとの節目に行われる法要のことを指します。 具体的には、ご逝去後、最初に行われる「初七日法要」や四十九日の忌明けを目安に行われる「四十九日法要」、1年後の節目に行われる「一周忌」、2年後(満2年)の節目に行われる「三回忌」などがあり、亡くなられた日を基準に営まれています。なお、亡くなられてから100日後に行われる「百箇日法要」も忌日法要のひとつに数えられますが、現代では省略されることも多く、必ずしも行わなければならないものではありません。 葬儀が一度きりのお見送りの儀式であるのに対し、法要は亡くなられてから数十年にわたって行われる儀式であるため、故人を弔い続けるための儀式ともいうことができます。 また法要では、親族や関係者が集まり、僧侶による読経や、参列者の焼香などが行われるのが一般的です。
法事との違い
法要に似た言葉に「法事」があります。法要が、故人を偲ぶ儀式そのものを指すのに対し、法事はその後に行われる食事や墓参りなども含めた行事全般を指す言葉になります。 つまり、法事の中には、法要が含まれているということです。
葬儀と法要のマナーの違い
葬儀と法要は、どちらも故人を偲ぶ大切な儀式ですが、それぞれマナーや形式が異なります。参列する際には、違いを知っておくと安心です。
参列範囲の違い
最近は、葬儀形式が多様化し、参列者の範囲をご遺族の希望に合わせて決められるようになりました。 たとえば一般葬は、家族や親族に加え、友人・知人や会社の同僚など広く関係者にお声がけをしますが、家族葬は、家族や親族、親しいご友人など、ごく近しい方々のみで執り行います。 このように葬儀では、葬儀形式を選択することによって、参列者の範囲を、故人やご遺族の意向で決めることができます。 一方で、法要は、基本的には家族や親族が中心となります。ただし、一周忌や三回忌のように亡くなって間もない法要では、広く友人・知人にお声がけすることもあります。
香典マナーの違い
香典には、故人への弔意を表すとともに、葬儀費用の一部を支えるという意味合いがあります。 葬儀でも法要でも香典を持参するのが一般的ですが、近年は遺族側が香典を辞退するケースもあるため、葬儀・法要に限らず、事前に案内状などで辞退の意向がないかを確認しておくと安心です。 葬儀の香典額は、故人との関係性や年齢などに応じて決まりますが、法要では関係性に加え、会食への参加の有無によって金額が変わる点も覚えておきましょう(※地域によって差があります)。 それぞれの金額の目安は以下の通りです。
葬儀の香典の目安
法要の香典の目安
※会食に参加する場合は上記の金額に5千円〜1万円上乗せするのが一般的です。 また、香典をお包みする香典袋の「表書き」のマナーにも違いがあります。
葬儀の香典の場合
法要の香典の場合
服装マナーの違い
葬儀や法要は、ご遺族に失礼のない、場にふさわしい服装で参列することが大切です。 葬儀では、基本的には男女ともにブラックフォーマル(準喪服)で参列します。 法要では、回忌を重ねると略喪服を着用することが多くなります。具体的には、遺族側は7回忌以降、遺族以外の参列者は3回忌以降は、略喪服でもよいとされるケースが多くなっています。 ただし、地域やご遺族の考え方によっても異なるため、事前に周囲に確認しておくと安心です。 また、葬儀も法要も弔事となるため、基本的には光沢のない素材を選ぶよう心がけましょう。
準喪服
略喪服
お盆と法要の関係
お盆には、親族が集まり、お墓参りをしたり、盆棚を飾ったりして先祖供養を行うご家庭も多いでしょう。また、お盆に合わせて僧侶に読経をお願いすることもあるため、「お盆も法要なのでは?」と思われる方も少なくありません。 しかし、お盆は、忌日法要や年忌法要のように位置づけられた法要とは異なる行事です。 一方で、特に亡くなって初めて迎えるお盆(初盆・新盆)には、僧侶に読経を依頼し、法要として丁寧に供養を行うご家庭も多く見られます。 そもそもお盆とは、7月または8月の中旬(地域によって異なります)に、「ご先祖様の霊がこの世に戻ってくる」と考えられている期間のことを指します。日本古来の先祖信仰と仏教的な行事が融合した伝統行事です。 このように、お盆は法要そのものではありませんが、故人や先祖を供養するという意味では、法要と共通する側面を持っているといえるでしょう。
違いを理解し、マナーを守って供養を迎えよう
同じ故人を供養するための儀式ですが、葬儀は「一度きりのお見送りの儀式」、法要は「葬儀後、長い年月にわたって続いていく追善供養の儀式」ということができます。その違いを理解しておくことで、より納得のいく供養の場にすることができるでしょう。 また、家族や親族が集まりやすいお盆は、普段あまり意識していない「供養」について考えるよい機会でもあります。 この機会に、次の法要の時期や内容を確認したり、お墓参りをしたりしながら、「これからの供養のあり方」についてご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
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