
一年で最も暑い季節に迎えるお盆。
お盆の時期には、先祖供養のために、ご家族でお墓参りをするという人も多いと思います。
しかし、墓地や霊園は日陰が少なく、炎天下での滞在になりやすい場所です。特にご高齢の親御さんと一緒に行かれる場合は、充分な対策が必要になります。
そこで今回は、猛暑のお墓参りで注意すべき服装や持ち物のポイントや熱中症対策について解説します。
夏場のお墓参りは、熱中症や脱水症状によるリスクもあるため、事前に対策をして出かけましょう。
目次
夏のお墓参りで高齢者のリスクが高い理由
近年、夏場の気温は、最高気温が35度の猛暑日が急増しています。
そんな中、多くの墓地や霊園は日当たりを重視して設計されているため、日陰が少ない傾向にあります。また、墓石からの熱反射もあり、夏場の昼間は、特に熱中症のリスクが高まります。
高齢の方は、もともと体内の水分量が少ない上に、暑さや喉の渇きなどに鈍感になりやすいため、水分補給が遅れてしまうことがあります。また、若い頃に比べて体温調節機能も低下しているため、体内に熱がこもりやすいというリスクもあります。
そのような状態で、移動や掃除、お墓のお手入れなどで体を動かすことで体力が消耗し、熱中症のリスクがさらに高まってしまいます。
熱中症を防ぐ、お墓参りの服装ポイント
お墓参りの服装は、基本的には普段着です。もちろん、露出の激しい服装や派手な色合いの服は避けるべきですが、葬儀のように喪服や、喪服に準じた服装である必要はありません。
ただし、動きやすさを重視して選ぶことは大切です。また、真夏の炎天下のお墓参りの場合は、日よけや通気性なども意識しましょう。
お盆にお墓参りに行く際の服装のポイントは、次のとおりです。
素材・色選びのポイント
素材は、綿や麻など通気性・吸湿性の高いものを選びましょう。そのほか、吸汗速乾性のある機能性素材もおすすめです。
色は白や淡いグレーなど、熱を吸収しにくい淡色系がおすすめです。黒や紺は日光を吸収しやすく体温が上がりやすいため、特にご高齢の方には避けてもらうよう声をかけてあげましょう。
帽子や日よけ
日差しを直接受けないよう、つばの広い帽子があるとよいでしょう。麦わら帽子やUVカット素材のハットが適しています。アウトドアブランドなどに、首から肩にかけてのシェード付きのハットや、接触冷感タイプのハットが販売されている場合があるので、そういったものを選んでもよいでしょう。
日傘も有効ですが、高齢の方が傘をさしながら歩くのは転倒リスクにつながる場合があります。付き添う方がさしてあげる、もしくは帽子と組み合わせる形が安心です。
靴や足元のポイント
墓地は砂利道や段差が多く、足元が不安定な場所も少なくありません。そのため靴は、歩きやすいスニーカーを選びましょう。サンダルやヒールは転倒の原因になるため、特に高齢の方には注意が必要です。
また最近は、靴下で接触冷感タイプのものが市販されているので、そういった機能性の高い靴下を活用し、足元の蒸れを防ぐのも効果的です。
インナーのポイント
汗を素早く吸って外に逃がす、吸汗速乾性のあるインナーを着用することで、体温上昇を和らげる効果があります。年配の方は、暑くてもしっかり着込む習慣のある方も多いため、涼感インナーへの切り替えをさりげなく提案してみましょう。
熱中症を防ぐための持ち物リスト
事前の服装と並んで大切なのが、持ち物の準備です。お墓参りの道具に気を取られて、つい暑さ対策グッズを忘れてしまいがちですが、特に高齢の親御さんと一緒のお参りでは、以下のものを準備しておくと安心です。
水分・塩分補給グッズ
持っていくとよいもの
スポーツドリンクや経口補水液
塩飴や塩タブレットなど
水筒やペットボトルの飲み物は人数分用意しましょう。スポーツドリンクや経口補水液は、汗で失われた水分や塩分を効率よく補給してくれるのでおすすめです。
熱中症対策には、水分と同時に塩分補給も必要になるため、水を持参する場合は塩分を手軽に摂れる塩飴や塩タブレットも準備しておくと安心です。
冷却グッズ
持っていくとよいもの
携帯扇風機
冷却タオル
保冷バッグ
保冷剤
ネッククーラーなど
ネッククーラーや、水で濡らして使う冷感タオル、携帯扇風機などは、手軽に体温を下げるのに役立ちます。首元や脇の下など、太い血管が通っている部分を冷やすと効果的です。
また、保冷剤をタオルに包んで身体にあてることでも冷却効果が得られます。保冷剤をクーラーボックスや保冷バッグに入れておけば、飲み物を冷たく保つ役割も兼ねられるのでおすすめです。
日よけ・紫外線対策グッズ
持っていくとよいもの
日傘
帽子
日焼け止めなど
日傘や帽子は、現地で急に必要になることもあります。折りたたみ傘をバッグに入れておくと安心です。
日焼け止めも、腕や首元など露出部分にしっかり塗っておきましょう。日焼けによる肌の炎症を防ぐことで、皮膚への負担を軽減できます。日焼け止めは汗などで流れてしまうことも多いため、こまめに塗りなおしましょう。
休憩・安全対策グッズ
持っていくとよいもの
折り畳みイスなど
荷物になるので必須ではないですが、墓地にベンチや休憩所がない場合に備えて、軽量の折りたたみ椅子があると重宝します。イスがあることで、高齢の親御さんがお参り中に座って待てる環境を作ってあげることができます。
事前に霊園・墓地の日陰やベンチ、自動販売機があるかを確認しておくと安心です。
時間帯や段取りの工夫
夏場のお墓参りでは、当日のスケジュールも大切になります。同じお墓参りでも、時間帯や段取りを工夫するだけで、身体への負担を大きく減らすことができます。
時間帯は午前中を選ぶ
夏場は、太陽が真上にくる正午(12時)頃が日差しが最も高くなる時間帯と言われています。できれば午前中の比較的涼しい時間帯にお墓参りを済ませるのがおすすめです。
掃除とお参りを別の日にする
現代は、お盆の時期にお墓参りと掃除をするケースが主流ですが、お墓の掃除は、草むしりや墓石の洗浄など、思いのほか身体を動かす作業で体力の消耗も激しいです。
可能であれば、掃除は別の日に済ませておき、お盆当日はお参りだけという段取りにするのがおすすめです。
実は、本来お墓の掃除は「お盆でご先祖様を綺麗な状態で迎えるため」に行うもののため、お盆に入る前に済ませておくのが理想的な作法ともいわれています。そのため、掃除とお参りを分けることはマナー違反にはあたりません。
積極的に休憩を取り入れる
ご高齢の方は、暑さを自覚しにくいため、自分では大丈夫と思っていても体調が急変することがよくあります。
そのため、スケジュールの中に積極的に休憩を取り入れて、親御さんのペースに合わせた無理のないお参りを心がけることが大切です。また、「水を飲みましょう」「少し休みましょう」の声掛けも頻繁に行いましょう。
熱中症の初期症状と対処法
準備や対策をしていても、熱中症は突然発症することがあります。特に、ご高齢の方は自覚症状がない分、気づいた頃にはすでに中等症以上に進行していたということもあり得ます。付き添う側が熱中症の初期症状に気づいてあげられることが、熱中症の進行を防ぐ助けになります。
ここでは、熱中症の初期症状と対処法をお伝えします。
熱中症の初期症状
熱中症の初期症状としては、めまいや立ちくらみ・顔のほてり・大量の発汗・手足のしびれやこむら返りなどが挙げられます。また、高齢者の場合は、発汗が少ない・顔色が悪い・口数が減る、といった変化が重要なサインになることもあります。
このような症状が見られたら、すぐに対処することが命を守ることにつながります。
その場でできる応急処置
症状に気づいたら、まず涼しい場所へ移動させましょう。木陰やお墓の管理棟など、直射日光を避けられる場所を探します。その後、衣服をゆるめて風を通しながら、少しずつ水分を補給します。
このとき、水分と塩分の両方を補給することが望ましいため、スポーツドリンクや経口補水液があると安心です。
また、首元・脇の下・足の付け根など太い血管が通っている部分を、保冷剤や冷たいタオルで冷やすと体温を効率よく下げることができます。
救急要請の判断基準
以下のような症状が見られる場合は、迷わず119番に連絡しましょう。
・呼びかけに反応しない、または反応が鈍い
・自力で水が飲めない
・意識がもうろうとしている
・けいれんを起こしている
「様子を見よう」と判断を先延ばしにすることが、重症化につながります。高齢者の熱中症は進行が速いため、少しでも不安を感じたら早めに救急要請することをためらわないでください。
また、猛暑日や熱中症警戒アラートが発表されている日は、無理にお墓参りをせず、日程を変更することも大切な判断です。体調を最優先に、ご家族で無理のない計画を立てましょう。
熱中症リスクは事前の知識と準備で予防しよう
年に一度のお盆参りを大切な家族の行事にしているというご家庭も多いと思います。
しかし、炎天下の中、無理に出かけて体調を崩してしまっては本末転倒です。熱中症は誰にでも起こり得るリスクです。高齢の方はもちろん、ご自身や同行する方が体調不良にならないよう、事前に万全の準備をしていきましょう。
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