
「親の年齢も感じるし、そろそろ終活の話をしておきたい」
これは、高齢の親御さんを持つ多くの方が抱える悩みの一つではないでしょうか。
お盆などで帰省するタイミングは、家族で終活の話をするよい機会です。でも「切り出し方がわからず、毎年先送りしてしまう……」という方も多いと思います。
そこで今回は、そんな方に向けて、親と終活の話をするときの切り出し方や、お墓や相続、葬儀のことなど、「これだけは話しておくと安心」というテーマについて詳しく解説します。
親御さんが嫌がるときの対処法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
なぜ、お盆が終活の話をするのによいタイミングなのか
お盆は、離れて暮らす家族が自然に顔を合わせる数少ない機会です。日常的に連絡を取り合っていても、「終活」のような重いテーマを電話やLINEで話し合うのは難しいと思います。
だからこそ、直接顔を合わせるお盆の帰省は、普段なかなか切り出せない話題に向き合える貴重な機会といえます。
また、お盆はもともと「先祖を迎え、供養する行事」です。お墓参りや仏壇へ手を合わせる習慣を通じて、「死」や「送り出すこと」が自然と話題に上りやすい雰囲気があります。終活の話を突然持ち出すのではなく、墓参りの帰り道や仏壇の前で「そういえば…」と話をはじめやすいのは、お盆の時期ならではです。
親と話しておきたい終活の3つのテーマ
終活の話は、一度の帰省ですべてを決める必要はありません。まずは、お墓・相続・葬儀のうち、一つでも話ができれば充分です。一度にすべてを聞こうと焦ってしまうと、かえって何も聞き出せなくなってしまうこともあります。
特に優先順位の高い以下の3つのテーマを押さえておき、「そのうちの一つだけでも話せれば充分」という気持ちで臨むことが、親御さんの気持ちを自然に聞き出すコツです。
また、話した内容はエンディングノートにまとめておくのもおすすめです。
ここでは、それぞれのテーマごとに「帰省時に確認しておきたいことチェックリスト」も合わせてお伝えします。
1. お墓・埋葬の希望
「お墓のことは長男がやるもの」と思っていたら、兄弟間で意見が割れてしまったといったトラブルは、決して珍しいことではありません。
お墓や仏壇・位牌などは「祭祀財産」と呼ばれ、一般的な相続財産とは異なり、原則として1人の祭祀承継者に引き継がれます。慣習として「長男や長女が継ぐもの」とされてはきましたが、法律上はそうした決まりはないのです。
そのため、誰が継ぐかを親が元気なうちに家族で話し合っておくことが、後々のトラブル防止につながります。
また、近年は埋葬のスタイルも多様化しています。従来の墓石のお墓のほか、樹木葬・納骨堂・永代供養墓など選択肢は広がっており、親御さん自身が希望しているケースも増えています。帰省時のお墓参りは、こうした話題を自然に切り出すきっかけになります。
さらに、お墓の管理費が支払われなかった場合、数年後にお墓は無縁墓となり、使用権を失うこともあります。お墓がどこにあり、誰が管理費を払っているのかを把握しておくことは、最低限必要な確認事項です。
帰省時に親に聞いてみたいお墓のことチェックリスト
現在のお墓の場所・霊園名の確認
お墓の名義人(祭祀承継者)が誰か
年間管理費の支払い状況・金額
希望する埋葬スタイル(従来墓・樹木葬・納骨堂など)があるか
誰にお墓を継いでほしいと思っているか
2. 相続・財産の把握
「うちには大した財産はないから大丈夫」という人もいるかもしれませんが、まとまった財産がなくても、相続トラブルは珍しくないのが現実です。遺産分割に関するトラブルのうち、遺産総額1,000万円以下のケースが全体の3割以上を占めているという最高裁判所の司法統計結果からもその事実は明らかです。
相続トラブルは「財産の問題」ではなく、じつは「家族関係」「情報不足」「準備不足」が原因で起こることが多いとされています。逆に言えば、生前の準備と情報共有をしっかり行っておけば、ほとんどのトラブルは防げます。
帰省時に親御さんに確認してほしいことは、財産の「金額」よりもまず「どこに何があるか」です。金融資産や不動産などがどこにどれだけあるのかを把握していないと、家族が探し出すのに膨大な時間と手間がかかってしまいます。通帳・保険証券・不動産の権利書がどこにあるかだけでも把握しておくと、いざというときに大きな助けになります。
また、遺言書の有無についても把握しておくと安心です。
帰省時に親に聞いてみたい相続のことチェックリスト
口座を持っている金融機関の確認
生命保険・医療保険の加入状況(保険会社・証券番号)
不動産(自宅・土地など)の名義が誰になっているか
遺言書の有無(またはその意向)
通帳・権利書・印鑑などの保管場所
3. 葬儀・お見送りの希望
葬儀の話は、3つの中でも特に切り出しにくいテーマかもしれません。
しかし、元気なうちに希望を聞いておくことは、家族全員にとっての安心にもつながります。
まず確認したいことは、葬儀の規模や形式です。近年は家族や親族のみで行う「家族葬」を選ぶ方が増えていますが、親御さんの世代は「近所の方や仕事関係の方にも来てもらいたい」と考えている人も少なくないでしょう。
葬儀の規模は、「親族まで」「家族のみ」「生前つきあいのあった方に広く」など、連絡する人の範囲で決まります。参列者のおおよその人数が把握できれば、葬儀形式や会場選びで迷うことも少なくなります。合わせて「この人は絶対に呼んでほしい」という人がいるかどうかも確認できるとよいでしょう。
また、もし「菩提寺があるか」「宗旨宗派は何か」がわからないという場合は、葬儀の際に必要になるため、必ず確認しておきましょう。
帰省時に親に聞いてみたい葬儀・お見送りチェックリスト
希望する葬儀のスタイル(家族葬・一般葬など)があるか
宗教・宗派、菩提寺の有無と連絡先の確認
喪主を誰に頼みたいか
遺影に使いたい写真があるか
親が嫌がるときの「切り出し方」のコツ
「終活」という言葉には「死の準備」というイメージがあるため、不快に思う親御さんもいるでしょう。親御さんに嫌な思いをさせずに、話し合いの場を作るのには、言葉選びが重要です。
「死んだら」「もう若くないから」「財産はどうするの」など直接的な言葉は避け、「もしものときのために」「家族みんなが安心できるように」など言葉選びを工夫することで、相手の受け取り方も大きく変わります。
そのことを前提に、以下のポイントを押さえ切り出してみましょう。
ニュースや身近な話をきっかけにする
「テレビで終活の特集をしていた」「友人の家は相続でもめたらしい」など、身近な話題をきっかけに切り出すと、自然と話を広げやすくなります。
【例】
「〇〇さんのご家族の葬儀のときは、交友関係がわからず大変だったみたいで、うちも少し話しておきたいなと思って」
「最近ニュースで相続の特集を見たんだけど、もしものときに通帳とか証書のありかがわからないと探し回ることになって大変って言ってたよ。そういう大切なものは、どこにまとめてる?」
「教えてほしい」という姿勢で話す
終活の話を「親に何かしてもらう」のではなく、「子が教えてもらいたい」という形にするのも効果的です。「いざというとき、私はどうすればいいか教えてほしい」という言い方は、親御さんの尊厳を守りながら希望や考えを聞き出すよい方法の一つです。
【例】
「お墓って、今は誰が管理してるの?何かあったときのために教えておいてほしいと思って」
自分ごととして話す
親御さんに話す前に、まずは自分が終活に取り組んでみることで、自分ごととして話ができるようになります。親御さんからすると「子どもが先にやっているなら」と、年齢を言い訳にしにくくなり「一緒に取り組んでみよう!」という気持ちにつながりやすいです。
【例】
「私もエンディングノートを書き始めたんだけど、お父さんもやってみない?今までの人生を振り返るきっかけにもなって、意外とたのしいよ。」
話した後にやるべきこと
お盆期間中に少しでも親御さんと話ができたら、そこで話したことは何らかの形で忘れないうちにメモとして残しておきましょう。スマートフォンのメモ機能でもよいですし、これを機に親御さんにエンディングノートをプレゼントしてみるのも効果的です。
また、話した内容について、兄弟と共有しておくことも後々のトラブルを防ぐポイントです。LINEやメールなどで、メモした内容を共有しておくだけでも充分です。
終活は、一度にすべてを行おうとすると無理が出てしまいます。また、親御さんの気持ちも年を追うごとに変わる可能性もあるでしょう。「毎年お盆で帰省した時に確認する」など、ルールを決めて、話し合いを続けていくことをおすすめします。
家族が集まるお盆は、親の気持ちを聞ける年に1度のチャンス
お盆の帰省は、家族が顔を合わせて終活の話ができる貴重な機会です。
毎年のお盆に少しずつ話を重ねることで、親御さんの気持ちや考えを理解し、家族がもしものときに困らないよう備えが整っていきます。
一度にすべてを終わらせようとするのではなく、「今年はこのテーマ」、「来年はこのことを聞いてみよう」というように少しずつ進めていければ大丈夫です。
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